この記事について
Raspberry Pi + 1.54インチ液晶 + タクトスイッチ3個で作る打刻キオスクのシリーズ第3回です。アプリとハードウェアの動作確認、はんだ付けまで終わったところで、最後に立ちはだかっているのが「これをどの箱に収めるか」問題でした。
- 第1回: アプリ開発編
- 第2回: Raspberry Pi組み込み編
- 第3回: 筐体作成編(この記事)
たまごっちキャリーケースへの挑戦、そして断念
当初の本命候補は、ガシャポンで売っているたまごっちキャリーケースの流用でした。横幅は実測74mmで、前面パネルの四隅を面取りすれば収まる計算が立ち、実機を当てての干渉確認もクリアしていました。
しかし最終的なボトルネックになったのは、大きく2つでした。
1つ目は奥行きです。ケース側の最大奥行き42mmに対して、Raspberry Pi本体+配線一式で必要な奥行きが41mmと、余裕はわずか1mm。しかもケース内側がカーブした形状のため、実際に使える有効な奥行きはさらに狭くなります。内寸/外寸の測り直しや複数箇所での実測、現物合わせなど、粘れるところまでは粘ってみました。
2つ目はボタン部分の構造です。たまごっちキャリーケースはあくまでガチャガチャの景品で、電子的な機構やギミックが入っているわけではありません。問題は物理的な成形の方にありました。画面部分にあたるアクリル板と、その周りの3つのボタン部分が、1枚の板として完全に一体成形されている形状だったのです。
これはつまり、どこか1箇所のボタン(たとえば右のボタン)を押すと、アクリル板全体がたわんで、他の2つのボタン部分も一緒に沈み込んでしまうということです。実際に組み込みを試す中で、1つのボタンを押しただけで、内部に配置した3個のタクトスイッチすべてに触れてしまうことが判明しました。これでは「次へ」「決定」「スクロール」を個別に押し分けるという、キオスクとして最低限必要な操作が成立しません。
この2つを両方クリアする道を探ってみたのですが、最終的にこのケースへの組み込みは断念することにしました。既製品の流用というアプローチ自体の限界だったと思います。なお、このたまごっちケース自体は無駄にはせず、小物入れとして活用することにしました。
方針転換: 3Dプリンターで自作する
既製ケースの流用を諦めた結果、行き着いたのが「サイズも形も、必要な分だけ自分で設計して3Dプリンターで出力する」という方針です。既製品のサイズに合わせて部品側を削る・詰めるという制約から解放されて、逆に「基板と液晶とボタンが収まる最小限の箱」をゼロから設計できるのは、遠回りに見えて実は一番素直なアプローチかもしれません。
ここから先は本記事執筆時点ではまだ未着手のため、想定している大まかな流れだけ枠として書いておきます。進捗が出たら随時この記事を更新していく予定です。
1. モデリング
3D CADツールで筐体の形状を設計する工程。Raspberry Piと液晶、ボタン3個の正確な寸法を元に、前面パネルのボタン穴・液晶窓の位置、本体を固定するための内部構造などを詰めていく想定です。
2. STLと組み合わせる
設計したモデルをSTL形式で書き出し、3Dプリンター用のスライサーソフトに読み込ませて印刷用データに変換する工程。複数パーツに分けて設計する場合は、パーツ同士の組み合わせ(はめ込み方式にするか、ネジ止めにするかなど)もここで詰める想定です。
3. プロダクト作成(出力)
実際に3Dプリンターで出力する工程。素材や造形方向、サポート材の有無などで仕上がりが変わってくるため、このあたりは実際にプリントしてみながら調整が必要になりそうです。
4. 完成
出力したパーツにRaspberry Pi一式を組み込み、液晶・ボタンの位置合わせや固定を行って完成、という流れを想定しています。
まとめ(というより現在地)
既製ケースの流用という当初のアプローチは、奥行き1mmの壁で断念することになりましたが、結果的に「3Dプリンターで自作する」というより自由度の高い方針に切り替わりました。モデリングから完成まではこれから着手するフェーズなので、進んだところからまた記事にしていきます。